サッカーと野球-5年くらい違う!?

トレード雑記第215弾、

 

サッカーと野球-5年くらい違う!?

わたしはサッカーも野球も大好きです。

とはいえ、両者に対して観戦の対象やポイントが大きく異なります。

 

特に、今回、ワールドカップでのサッカー観戦をきっかけに、

その余韻に浸りながら「高校サッカー」(選手権大会)について、

テレビで観戦された方も少なくなかったように感じます。

 

もちろん、各国代表のスター選手が集うワールドカップと、

日本の高校生のクラブ活動である選手権大会とにおいては、

レベルに大きな差があったのは当然のことなのですが、

Jリーグや海外クラブへのプロ入りが決定している選手もいますし、

未来の日本代表で活躍する選手を今からチェックしておきたい、

そういった「目利き」も高校スポーツ観戦の面白さのひとつだと思います。

 

とはいえ、野球の「甲子園」とサッカーの「選手権大会」では、

というより、野球とサッカーとでは「高校生の活動」において、

決定的に異なるポイントがあります。

 

というのが、本日のテーマ。

 

結論を書くと、

サッカーは野球に比べて「頭角を現す時期」が5年くらい早い

というもの。

 

野球の場合

イメージしやすいように野球の場合から。

 

野球選手を目指す少年は、だいたいの場合、

まずは地域の少年野球団に所属するところからキャリアをスタートさせます。

 

小学生はリトルリーグ、中学生はリトルシニア(シニアリーグ)などを経て、

高校生になると、強豪高校の野球部に所属して「甲子園」を目指す、というのが一般的な流れ。

 

中学生からいきなりプロ野球とか、野球部以外からプロ野球とか、

過去の事例はありますが、現在ではプロ野球選手のほとんどが「高校野球部」出身者だと思います。

 

そして「ドラフト会議」を経て、プロ野球選手となるというのが王道のルートです。

 

とはいえ、高校生から直接プロ野球に入るルート以外でも、

大学野球や社会人(実業団)野球も盛んですので、

高校野球→大学野球(&or)社会人野球→プロ野球というのがプロになるルートとして一般的。

 

一部の例外を除いて、

高校生からプロになった選手が、1軍即デビュー、そして大活躍ということはありません。

 

まずは2軍でじっくり体を鍛えて、みたいな感覚で2~4年は育成期間という感じ。

(その間、1軍に定着して活躍する選手も少なからずいるわけですが)

 

そして、同い年の大学卒からのプロ選手と比較される5年目の段階で、

一歩か二歩リードしている(≒プロと大学の育成の違いの差)状況がひとつの目安。

 

その後、大卒や社会人からのプロ選手のある種の準備期間を経たかたちで、

24歳~25歳くらいで年齢になったときに

チームの「スタメン」に定着しているか否かが、

その後のキャリアに大きく影響してくる感じでしょうか。

 

もちろん、高卒18歳ルーキーが大活躍する事例もありますが、

平成後半から令和になって、若手はじっくり育てるスタイルが主流だと思います。

 

一方で、厳しいプロの世界ですから、

このくらいの年齢までに芽が出ないと「戦力外通告」(≒実質引退)の対象になります。

 

サッカーの場合

サッカーの場合も、地域の少年サッカーチームに所属するところからスタートしますが、

比較的早い段階で、プロチーム(Jリーグ)の下部組織(ジュニアユースなど)に所属します。

 

おそらく野球とサッカーの大きな違いのひとつが、

プロがアマチュア(≒少年たち)を育成する視点があるかないか、というとこと。

(野球の場合は「プロアマ規定」などもあって、少年指導がやりにくい)

 

プロのサッカー選手を目指す少年にとっては、

プロチームの下部組織に所属して、実力を示すことが大切になります。

 

最も有名な事例のひとつが、

現日本代表でカタールW杯にも出場した久保建英(くぼたけふさ)選手。

 

小学3年生でJリーグの川崎フロンターレの下部組織に入団しましたが、

その後すぐに(10歳)、FCバルセロナの下部組織に入団したことで、

天才サッカー少年として一躍有名な存在になりました。

 

ビザの関係もあって、日本でプロ生活をスタートさせますが、

15歳でJリーグデビュー(最年少記録)を果たしたのち、

現在はスペインの強豪レアル・ソシエダで活躍しています。

 

現在21歳。

 

今回のW杯ではチーム戦術や体調不良の影響もあって、

目を見張る活躍は見られませんでしたが、今後も最注目選手のひとりです。

 

さて、話を戻すと・・・。

 

久保選手は異例ですが、

日本国内においてもサッカーの場合は、

小学生、中学生くらいからプロチームの下部組織で活躍する選手が少なくありません。

 

カタールW杯の日本代表選手のキャリアをみた場合、

「下部組織(≒ユース)出身者」と「高校サッカー出身者」が約半々だったようです。

 

ということは・・・、

先日開催されて話題となった高校サッカーの選手権大会に「未出場」の選手が、

数えきれないほど存在するわけです。

 

野球だと、高校の野球部に所属して甲子園での活躍がひとつの目標ですし、

その後のドラフト会議を経てのプロ契約が一般的なキャリア形成です。

 

一方で、サッカーの場合は、高校サッカー(→大学サッカー)→プロ契約と、

プロチームのユース→プロ契約と大きく2種類のキャリア形成のパターンが確立されています。

 

つまり、高校生(18歳)は野球の場合だと(ほぼ)アマチュアで、

サッカーの場合だと、プロとアマチュアが混在する状況になっています。

 

おそらく今後は、

10代でのプロデビュー、日本代表に占めるユース出身者が増えてくるように感じます。

 

理由は単純で、

1試合あたりの運動量がとても多いサッカーでは「体力≒若さ」は大きなポイントとなりますので、

より若い選手の台頭が求められるわけです。

 

さきほど野球では24~25歳くらいがひとつの目安と書きましたが、

サッカーの場合だと5年くらい早く、19~20歳がひとつの目安となるイメージです。

 

世界のサッカー界をみても、

10代でのプロデビューは珍しくありません。

 

たとえば、

フランス代表キリアン・エンバペ選手は、

18歳でA代表(いわゆるフランス代表)デビュー、

19歳でロシアW杯出場&得点、チームは優勝、

23歳のカタールW杯で得点王、チームは準優勝、

W杯終了後に24歳の誕生日を迎えました。

 

もはやエンバペを「若手というくくり」で扱う人はいないと思います。

 

ちなみに、フランス代表にとってオリンピックは「2軍戦」なので、

エンパペをはじめ有力選手は東京五輪に不出場となりました。

 

つまり、強豪国では、

U-23(≒大学生くらい)だと、すでに2軍の戦いという感覚なので、

10代でA代表(≒1軍)に入ったうえで頭角を現すことが大切になるわけです。

 

そういうことを考えると、

高校生くらいの年代で「未来の日本代表の原石」みたいな発想自体が、

もしかすると「サッカーの常識から遅れている」のかもしれません。

 

実際20歳前後の選手がカタールW杯でも多数活躍していました。

(ベテラン選手もプロデビューは早く、メッシ、モドリッチなども10代)

 

高校生の選手に対して、

明日にでも日本代表で活躍できるのか、

くらいの尺度で観ないとダメなのかもしれないですね。

 

そういう意味では、

野球とサッカーの違いという文脈で「5年の違い」を書いてきましたが、

世界のサッカーと日本のサッカーの「5年の違い」くらいの感覚が芽生えます。

 

「ワールドカップベスト8」に向けての課題について、いろいろと語られていますが、

10代後半で日本代表(A代表)レベルの活躍ができる選手の育成が重要かもしれません。

 

約4年後に開催される次回ワールドカップですが、

今回のカタール大会で注目を集めた20代前半の選手の4年後を期待するとともに、

現在中学生~高校生くらいの選手の育成こそがベスト8向けた最重要課題かもしれません。

 

といったところで、本日のブログは手仕舞い。

 


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