女性棋士誕生なるか!?

トレード雑記第584弾、
女性棋士誕生なるか!?
清水市代将棋連盟新会長の就任とともに注目を集めていたのが、
「クイーン白玲」による棋士編入の可否ですが、棋士総会にて賛成多数で可決されました。
「クイーン白玲」とは、
女流タイトル棋戦である白玲戦を通算5期獲得すれば得られる称号です。
イメージとしては、
棋士の「永世名人」と同等のニュアンス。
賛否(どちらかというと否定側の意見が声高に)ありましたが、
棋士総会において賛成多数で可決されたわけですから、
(感情的にならずに)いったん冷静になって、現状と展望を確認します。
1.女性による棋士への道-現状-
現状において棋士になるには、
半年に1回実施される奨励会三段リーグで上位2名が四段(=棋士、プロ)となります。
奨励会は性別不問ですが、
これまで女性で棋士になった人は存在しません。
また、奨励会以外のルートだと、
規定の成績をおさめた人物を対象とした棋士編入試験が実施され、
そこで合格すると棋士となります。
女性で棋士に最も近づいたのは、
福間香奈女流六冠、西山朋佳女流二冠の2名で、
両名とも奨励会三段リーグ在籍経験あり、棋士編入試験受験経験あり、となります。
特に西山女流二冠は、
三段リーグ次点(3位)、棋士編入試験惜敗(2勝3敗)と、
後1勝が出来ていれば、というところまでいきました。
今回追加される「クイーン白玲」による棋士編入は、
文字どおり女性のみの特例ルートとしての基準であり、
かつ、(理論上)棋士および奨励会員と一度も対局しないで棋士となるルートのため、
伝統等を重んじる人のなかには反対意見が多かった(今でも多い)というのが実情です。
2.女性棋士の誕生と活躍への道-展望-
それでは、
今回の制度変更によって、女性棋士の誕生はあるのでしょうか、
その後、女性棋士が誕生したとして活躍はできるのでしょうか。
女性棋士は、100%誕生すると断言できます。
最速だと西山女流二冠(現在、白玲3期)が残り2期防衛する流れ。
仮に福間女流六冠が奪取するなどしても、
通算5期の称号である「クイーン白玲」は早晩誕生しますので、
そのタイミングで女性棋士の誕生となります。
また、その後の展望としては、
単純計算ですが10年で2名の女性棋士が誕生する可能性があります。
この感じだと数十年後には、5人、10人と、
女性棋士が増え続けるイメージがあるかもしれませんが、
棋士編入と言っても「フリークラス」への編入ですので、
既定の成績以下だと10年で強制引退となってしまいます。
現時点において、
規定の成績を達成できそうな女流棋士は・・・、
福間女流六冠、西山女流二冠ですらかなり厳しそうですし、
それ以外の現役女流棋士だと可能性はゼロに近い状況なので、
実際に女性棋士が誕生しても、1名or2名がパッとしない成績で活動を続けるというイメージです。
つまり、女性棋士の人数が激増する流れにはならならいということ。
対局状況を見ても、
女流棋士のトップ(福間&西山女流など)は、
すでに(名人戦を除く)タイトル戦や一般棋戦の女流棋士枠で対局をしていますので、
これまでとさほど変化はなく、棋士と対局すること自体の恩恵はほとんどありません。
そして収入面においても女流棋士のトップは、
女流タイトル棋戦の対局賞金が高額ですので、
一般的な棋士(男性)より断然に、なんなら羽生前会長など著名な棋士より高収入、
おそらくは藤井聡太竜王名人(≒タイトルホルダー)に次ぐレベルでの高収入のはず。
一方で、棋士(=男性)の側ですが、
「フリークラスに1名追加」でしかないので、
自身の立場や収入に変化はほとんどないといって過言ではありません。
つまり女流棋士→女性棋士が誕生しても、
女性(女流棋士)側、男性(棋士)側の双方に、
特段の変化を強いるような出来事は起こり得ない、という状況。
メディア等で「史上初の女性棋士誕生!」は盛り上がるので宣伝効果は抜群ですが、
実質的には、棋士にも、女流棋士にも、対局や収入面で大きな変化はおこらなさそう、という予想。
おそらくですが、棋士数を増員するという棋士の根幹に関わる大きな制度変更に対して、
声高に反対する棋士がいなかったのもそういった現状を知っているからだと思われます。
(将棋ファンの一部が過激な反対意見をぶつけていましたが)
ということで、
現時点でのわたしの結論。
女性棋士は早ければ数年後に誕生するけれど、
女性棋士の活躍は現状と変わらないという印象。
むしろ、
女性棋士となった方が好奇の目に晒されたり、
メディア露出等で将棋が指しにくい環境になったり、
心身のバランスが崩れたりしないか、そちらの心配が勝ってしまいます。
といったところで、本日のブログは手仕舞い。