『LV999の村人』って知ってる!?
トレード雑記第333弾、
『LV999の村人』って知ってる!?
名前だけは知っていたけれど、最近「LINEマンガ」で読んだ作品。
『小説家になろう』にて2015年から2016年にかけて連載されたいわゆる「なろう系」作品で、
漫画版は2017年から発売中(ブログ執筆時点で14巻)の作品となります。
正直、ポイント消化目的だったのと、
どうせ「冴えない設定」の主人公が「特殊能力をGET」して、
「俺TUEEEE」からの、〇〇を見返す・復讐&orハーレム展開だろう・・・、
程度には期待していなかったので、
「あれ!? 意外と面白い!?」となった作品。
あらためまして、本日紹介する作品はこちら。
『LV999の村人』
(漫画:岩元健一、原作: 星月子猫、キャラクター原案:ふーみ)
ざっくりと内容を紹介すると、
【基本設定】
①この世界の人間は誕生した段階で「役割」が決まっていて、主人公は最弱の「村人」
②世界には「人間」以外に、「魔族」と魔族が産み出す「モンスター」の3種類が生息
③モンスターを倒すと「お金」(人間の世界で使用可能)を落とす
という「典型的」なRPGの世界観。
【主人公の性格と基本設定への疑問】
④主人公は「お金」目的でモンスターを倒していた(≒崇高な目的はない)
⑤お金を稼ぐと同時に、レベル(LV)も上昇していた(≒最高値の999)
⑥そもそも「なぜモンスターがお金を落とすのか」に疑問を抱く
⑦魔族を滅ぼすべく崇高な目的を持って戦う「勇者」パーティと出会う
⑧モンスターを倒す、魔族を滅ぼす、が当然のことなのか疑問を抱く
という「ゲーム等の世界観」へのメタ疑問。
【主人公の性格とそこから導き出される使命感】
⑨主人公に人間と魔族は「共存共栄」できるのではないかとの気持ちが強まる
⑩勇者と対立したり協力したり、魔族と対立したり協力したり、「共存共栄」を目指す
⑪人間と魔族の双方がいがみ合う「当たり前」のシステムを壊すための冒険を始める
という「ベタと言えばベタ」な主人公の冒険活劇。
人間には、
A.魔族を敵視する人たち(≒それが当たり前の世界)
家族や大切な人を魔族に殺された、などの心理描写あり
B.魔族との共存共栄を模索する人たち(≒主人公をはじめ一部の人)
C.無関心な人たち(≒大きな目的はなく日々の暮らしを送る人)
が存在していて、
魔族にも、
A.人間を敵視する魔族(≒それが当たり前の世界)
家族や大切な魔族を人間に殺された、などの心理描写あり
B.人間との共存共栄を模索する魔族(≒主人公に感化された一部の魔族)
C.無関心な魔族
が存在している感じ。
なお、モンスターは、
魔族が産み出したキャラで、意思を持っている描写はみられない。
こんな展開で、繰り返しになるけれど、
人間と魔族は相容れないから戦うのが当たり前だよね、
という大前提・お約束に疑問をもった主人公が活躍する物語。
主人公の考え方や行動が、
ある意味で「子どものソレ」で、
甘っちょろいし、独特のわがまま感が満載だったりします。
共存共栄という理想論を語りながら、
その考えに反対する人・魔族(≒戦うことが当たり前と考えるキャラ)と戦います。
そういった発言や行動を矛盾だと理解しつつ、
上手くまとめているのがこの作品のいちばんの魅力。
単純なキャラ設定、ストーリー展開に思えて、
案外しっかり描かれている、そう感じる作品です。
ちなみに、
わたしは40話くらい(単行本8巻分)までしか読んでいないので、
最終的にどういった結末になるのか、そのあたりはわかりません。
おまけ.現実における戦争・紛争について
開戦前夜には緊張が走ったロシアとウクライナの話題も、
最近になって再燃したイスラエルとパレスチナの話題も、
それぞれの人たちのそれぞれの立場で主張したい内容が、
理想と現実の狭間で矛盾を抱えながら争いとなった感じ。
それぞれの代弁者っぽい有識者が、
ぺちゃくちゃと討論している様は、
失礼ながら平和でもあり滑稽でもあるように映ります。
魔族に虐げられた人間が魔族を恨み、
人間に虐げられた魔族が人間を恨む、
その連鎖が当然視されている世界観、
その当たり前の世界観に疑問を投げかけた物語が、
『LV999の村人』だとわたしなりに解釈しました。
物語として読むのは気楽なものですが、
現実は、より複雑で、より困難な課題に直面しているようです。
といったところで、本日のブログは手仕舞い。