将棋「プロ編入試験」が増えるかも!?

トレード雑記第168弾、

 

将棋「プロ編入試験」が増えるかも!?

現在、里見香奈女流五冠による棋士の編入試験が続いています。

 

5対局中3勝で合格、現在0勝1敗、次戦は9月22日、試験官は岡部怜央四段です。

 

なお、試験官は、規定により、受験の意思が表明された段階で、

「新四段5名を棋士番号順に選出」なので、新しい人から5名となっています。

(立候補制でも指名制でもないところは公平な感じがしています)

 

結果も大注目なのですが、

今回は、もしかするともう一件、プロ編入試験がおこなわれるかもしれない、

そういうお話についてです。

 

9月13日に受験資格を手にしたのは、

アマチュア強豪の小山怜央さん、29歳。

 

小山さんは、

プロを目指す唯一の養成機関「奨励会」に在籍した経験がないので、

極めて異例の展開。

 

これまでは、奨励会に在籍しつつも、

あと一歩でプロになれなった人がアマチュアで実績を積み編入試験の受験資格を得る場合がほとんど。

 

戦前の1944年に故・花村元司さん(最終的な段位は九段)が、

奨励会を経ずに編入試験が実施されてプロになった実績がありますが、近年は元・奨励会員のみでした。

 

現時点でプロ編入試験の受験を表明されていませんが、

「前向きに検討したい」とのインタビューもありますので、

おそらく受験されることになると思われます。

 

もし小山さんが(受験を表明したうえで)合格して棋士になれば、

ある意味では里見女流五冠よりも衝撃かもしれません。

 

あれ!?プロ編入試験多くね!?

とはいえ、わたし個人の感想は、この小見出しのとおりです。

 

というのも、実は、小山さんのニュースの少し前に、

アマチュア強豪の早咲誠和さんが「あと1勝」で受験資格を獲得できるところ、

残念ながら敗退したというニュースがあったばかりでした。

 

早咲さんのニュースが9月4日、

小山さんのニュースが9月13日です。

 

里見女流四冠(当時)が受験資格を獲得したのが5月27日の対局でしたので、

今年だけで受験資格の獲得という意味では2例達成していますし、

もしかすると今年中に3例目もあるかも・・・、という状況が続きます。

 

ちなみに、受験資格は、

「最近の公式戦で10勝以上、かつ勝率6割5分以上」の条件

となります。

 

これを、逆から読めば、

最近の公式戦において「10敗以上」プロがアマチュアに負けている事例が2例、

9敗している事例も合わせると・・・、

「プロ大丈夫か!? 勝率4割未満!?」と解釈できます。

 

これまで、このプログでは、

将棋は実力の世界、プロがアマチュアに勝つのは当たり前、

そこは麻雀など運の要素が介在するゲーム・競技とは異なる、

みたいなスタンスで書いてきたのに・・・。

 

将棋ファンとして、

アマチュアが受験資格を獲得したり、その一歩手前に到達するのは、

ものすごいことだと思う反面、プロが弱くなっているのかもしれない、

と、疑問に思ってしまうわけです。

 

そこで、少し調べてみての、今回のことが納得できる理由と、

この流れが続くのは「ちょっとなぁ・・・」という率直な感想。

 

そのため、一部の棋士に対して、

というかこのままの流れを考えると将棋連盟に対して、辛口の論評となります。

 

弱い棋士が多くなったかも、そしてこれからも・・・

将棋ファンのひとりとして、憤り的な感情もありますが、小見出しのとおりです。

 

今回、小山さんが受験資格を獲得した条件を確認すると、

2019年1月19日から2022年9月13日までにおこなわれた全15回の対局において、

10勝5敗となります。

 

アマチュアですから、参加できる棋戦が、

年間3~5対局しかないなかで着実に勝利をもぎ取っての受験資格獲得。

 

このこと自体はめちゃくちゃすごいことなのですが、

いったんそこは置いておいて、制度上のお話として、

アマチュアが参戦できる棋戦(公式戦)は限られていて、

その場合の対局相手に「一流どころ」の棋士は皆無です。

 

どんなスポーツでもそうだと思いますが、たとえば1部と2部の入れ替え戦などは、

1部の最下位成績と2部の最高成績(≒優勝)が戦うわけで、それと似たイメージです。

 

繰り返しますが、あくまでも制度上のお話で、

アマチュアの大会・タイトル戦を勝ち上がった最高成績のアマチュアが、

そのときの棋戦の(参加基準などから)最下位成績のプロと対局する流れです。

 

いきなりタイトルホルダーなど一流どころの棋士と対局できるわけではないのは、

制度上も当然といえば当然なわけですが、

比較的弱い棋士に2勝1敗のペースで勝ち星を積み上げれば・・・、

机上の空論で書けば「4回目」で受験資格を獲得できることになってしまいます。

 

そしてもうひとつ、

「最近の公式戦」での勝ち星等が条件ですから、

必ずしも対局相手が「棋士」(=プロ)の必要がありません。

 

実は、小山さんの10勝5敗のうちの2勝は、

女流棋士から勝ち取ったものです。

 

ややこしいですが、

女流棋士も女流棋士のなかで最高成績を出した人は棋戦(公式戦)への参加資格が発生します。

 

ざっくり書くと、棋戦(公式戦)の予選扱いで、

アマチュアの大会・タイトル戦や女流棋士の対局があるイメージです。

 

そこで勝利した最強のアマチュアと最強の女流棋士が、

棋戦(公式戦)の本戦に出場できるわけです。

 

そして、たとえば本戦の一回戦で「アマチュアvs女流棋士」が成立するわけです。

 

もちろんアマチュア枠も女流棋士枠もそれぞれ1名が基本なので、

連続して棋士以外の人同士で公式戦がおこなわれるわけではありません。

 

ありませんが・・・、

この2勝は、う~ん・・・、

「プロ=棋士」ではない人に勝利して、プロ編入試験の受験資格というのは、う~ん・・・。

 

というのが、率直な感想です。

 

この点は、制度上のお話なので、

そのうち見直されるかもしれません。

 

たとえば、棋戦の本戦トーナメントにおいてアマチュア枠と女流棋士枠のブロックを分けるとか、

一回戦で当たらないようにするとか、その程度の変更だけで、両者の対局はほぼ回避できるはず。

 

ですから、このことについては、それほど深刻な問題とは思わないのですが、

さきほどの小見出し「弱い棋士が多くなったかも、そしてこれからも・・・」と関連して、

「アマチュアに負けるレベルのプロが増えている」という方が、深刻といえば深刻です。

 

「弱い」と一刀両断した書き方をしましたが、

小山さんと対局した15局の顔ぶれ(2局指して1勝1敗の棋士がいるので14名)をみると、

タイトルを獲得しているような一流棋士はもちろん皆無ですが、

そこそこ活躍している棋士は少なくなかったりします。

 

プロの側から見ると、

アマチュアの小山さんに対して油断があったのかもしれませんし、

たまたま負けてしまっただけなのかもしれません。

(公式戦なので言い訳にはなりませんが、体調等の問題もありますので)

 

正直、アマチュアでプロに勝つ強い人がいる、というのは、

気持ちが昂るものがありますし、応援したい気持ちになるわけですが、

プロ編入試験の受験資格を年間に2人にも3人にも献上しているようでは、

ちょっと違和感というか、将棋の楽しみ方、見方が変わってくるかも・・・。

 

贅沢な悩みなのかもしれませんが、

プロにはプロの強さを見せつけてもらって、

そのうえで、プロを打ち破るアマチュアに心躍らされたいわけです。

 

5~10年に挑戦者が1人あらわれるくらいが、

わたし個人にはちょうどいいのですが・・・。

 

ちなみに、

もし小山怜央さんがプロ編入試験を受験するのであれば、

全力で応援したいと思っています。

 

といったところで、本日のブログは手仕舞い。

 


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4件のコメント

  • すう様とアラフィフ様の3連休はいかがでしょうか。僕は、今日は近くの海に行って、「今はもう秋 誰もいない海♪」と、センチな孤独のグルメ、、元へ、孤独の休日を堪能して来るつもりです。北関東は晴れていますが、九州の方は心配ですが無事に過ぎて欲しいですね。
    将棋界の知識が凄いですね!   僕は千駄ヶ谷の将棋会館に2度ほど見物に行った事が有りますが、玄関ドアの脇にあったパンフレットを貰って逃げるように帰ってきただけで、知識は常識程度しかわかりません。新聞を取っていないので、日曜日の新聞を近所のコンビニで買って来て(毎日新聞など)羽生善治の「詰め将棋」を見るのですが、何と、一手詰めです!
    小学生の初心者向けなのです!(奨学会や奨励会ではなく本物の小学生向けです)・・・僕は詰めてニッと笑います(^^)
    目先の気になること、台風の影響とか株式市場の動向とかウクライナの情勢とかたくさんありますが、、、、、
    村上選手のホームラン記録は素直に「さあっ!どっち⁉」と気になりますよね。
    将棋の力作記事の読み応え十分で感謝です。有難うございました。

    • 格さん、お疲れ様です。

      3連休いかがお過ごしでしょうか。

      今回は台風の影響もあるので、お家でのんびりコースですw
      (基本的に、そもそもインドアですがw)

      一手詰め、楽しいですよね!!!
      意外といっては失礼ですが、難しい一手詰めもあって、
      おぉ、そういうカラクリかぁって、解けた時の充実感が好きです!

      村上選手は久しぶりに大器の予感がしますよね、
      故障とかせずに、活躍を続けてほしいです!!!

      最後にお詫びになります、
      コメント承認&返信が夕方になってしまいましてすいません。

      残念ながら、おそらくアラフィフさんにはコメントが伝わっていないと思います。
      (その後コメントをご覧になるかもしれませんが、みない可能性も大きいので)

      ブログのコメント欄ですので、長文が可能な反面、
      Twitterやlineのようなリアルタイムでやりとりできるわけではありませんので、
      ご了承いただけましたらうれしいです。

      お互い3連休明けも楽しんでいきましょう!

  • おはようございます。
    今日はすうさんの得意分野の記事ですね。
    私はルールは知っているのですが、
    プロ棋士へのルートは漠然としか知らないので
    ググってみましたw
    王道は奨励会への入会くらいは知っていましたが、
    編入制度もいろいろ複雑っぽいですねw
    昔は近所のおっさんが道端で夕方に縁台で刺してる光景を
    よく見かけていましたが、流石に最近は皆無。
    (コ〇ナ以前でも、実家の近所でも見なくなりました)
    やはり競技人口が右肩下がりだからですかね。
    これは、将棋が面白くなくなったのではなく、
    各々の興味がある分野が細分化している
    (楽しむものに選択肢が増えた)のも
    原因かもしれません。
    当然競技人口が減ると連盟は危機感を持つでしょうから、
    編入制度も今後増える可能性が・・・
    競技人口が増えれば、当然強い棋士が増える可能性も
    高くなると思います。
    また、将棋のルールがよくわからないと思う人も
    多そうですよね。
    そういう人向けなのか、短時間で勝負が決まりやすいかわかりませんが、
    「京都将棋」もありますしw
    競技人口の減少のもう一つの要因として、
    「将棋は決着に時間がかかることがある。
    特に実力の拮抗する人ほど」が考えられます。
    (麻雀も同じ。私はそう思ってますw)
    何でもかんでも時短が進む世の中で
    将棋はいかに生き残り、競技人口を増やしていくのは
    なかなか厳しい道のりかもしれません。
    将棋は頭をフル回転させる戦略ゲームなので
    ハマると本当に面白いんですがね・・・
    私も一時期ハマっていましたが、周りに対局できる人が減り、
    ネットゲームやネット対戦もやりました。
    が、対面で打つ時ほど面白くないんですよね・・・
    (これは麻雀もおなじです)
    ワイワイやり取りしながら対局する、
    私の中での醍醐味の一つです。
    話は横にそれましたが、
    将棋、囲碁、麻雀とに面白いゲーム(競技)なので
    「いかに大衆の目に魅力的に映るか」
    (1局の時短は中々無理があるので)
    これが今後の鍵を握ることになるのかと思います。
    (ウマ娘みたく、擬人化将棋の登場とかw)
    台風が来る3連休になりそうですね・・・
    お互い備えをして、
    被害なく来週を迎えられるよう祈ってます。
    良い週末をお過ごしください♪

    • おはようございますこんばんは!

      はい、将棋は麻雀と並ぶ大好きな領域ですw

      プロ編入試験は特例中の特例でしたが、2005年当時、
      超絶有名なアマチュア棋士の瀬川晶司さんの嘆願&救済措置的な位置づけで開催されました。

      その後、何度かのモデルチェンジを経て現行制度になっている感じです。

      瀬川さんは現在六段に昇段されて活躍していますので、
      編入試験の成功例として、現在に続いている理由だと思います。

      細かい制度はまた変更されそうですが、
      5~10年に1人くらいは該当者がでるくらいがプロにもアマにもファンにもちょうどいいかなぁとw

      将棋、そして麻雀に関する考察、おっしゃるとおり、完全に同意です!

      どうしても長時間になっちゃうんですよね・・・。

      だからこそAbemaトーナメントなどの短期決戦が、
      ファン層拡大に一役買っているのかもしれません。

      競技人口の増減は、マイナー競技(?)すべてに通ずる課題ですよね。
      (野球やサッカーですら聞く話題ですし・・・)

      プロの強さと、われわれのような趣味でやる気楽さと、
      両方の良さがいいかたちで繋がればいいですよね!

      3連休、台風の進路がきになりますが、
      気持ちよくリフレッシュできたらいいですね。

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