W杯小話⑦.ターンオーバー

トレード雑記第206弾、

 

W杯小話⑦.ターンオーバー

ワールドカップ開催に合わせて公開するブログ第10弾。

 

日本代表からこの言葉を聞く日が来ることになるとは!!!

 

というサッカー用語「ターンオーバー」。

 

意味するところは、

リーグ戦やカップ戦などの試合に応じてチームの先発メンバーを大きく入れ替えること。

主力選手の過密日程での疲労等を考慮して行う。

となります(コトバンクより)。

 

2022年カタール大会のグループリーグにおいて、

日本代表がコスタリカ戦で採用したらしい戦略。

 

いろいろと賛否両論ありましたが・・・、

 

少々、というか、

けっこう物議を醸してしまう事態に発展しているような・・・。

 

ということで、

ターンオーバーについて少し考察したいと思います。

 

「ターンオーバー」を実施する目的

ターンオーバーを実施する目的は、大きく次の3点です。

 

1.選手のケガ、病気などアクシデントで致し方ない場合

2.大敗を喫するなど、流れを変えたい場合

3.グループリーグ突破の確定後など、消化試合で入れ替える場合

 

1.のケースは、

ある意味で不可抗力です。

 

戦略的な意味合いのあるターンオーバーに含めなくてもいいのですが、

大幅な先発メンバー(スタメン)の変更理由のひとつとして含めています。

 

2.のケースは、

戦略的ではありますが、実際には苦肉の策といった内容。

 

そして3.のケースが、

一般的にサッカーにおけるターンオーバーを意味します。

 

ワールドカップのように4チームでグループリーグ(予選)を実施して、

2チーム勝ち上がりの決勝トーナメントに進む方式を採用している場合、

勝ち点6(2連勝)があれば、最終戦の結果に関係なくグループリーグ突破がほぼ確定します。

 

そこで、

主力選手の温存(≒疲労回復やケガの予防など)をするとともに、

控え選手のコンディション調整などを目的としたターンオーバーおこなわれます。

 

今回のワールドカップだと、

フランス(チュニジア戦)ポルトガル(韓国戦)、ブラジル(カメルーン戦)など、

消化試合となる第3戦において、典型的なターンオーバーを実施しました。

 

これらの代表チームはグループリーグ突破が確定していますから、

第3戦のターンオーバーに対して批判が集まることはありません。

 

むしろ主力選手を第3戦で出場させて、万が一ケガでもすれば、

その方が批判されることになるのがサッカーでの常識だと思います。

 

ただし、

上記以外の理由においてターンオーバーを実施する場合は、

驚きや違和感を持って迎えられることが少なくありません。

 

そして、下手をすると、

対戦相手国に対して「敬意を欠く」「失礼な行為だ」と評価される危険があります。

 

今回の日本代表によるコスタリカ戦(第2戦)での、

大幅なスタメン変更は自称「ターンオーバー」かもしれませんが、

上記1~3.の要件に該当していません。

 

そのため対戦相手の代表チーム、

さらにはワールドカップに参加している他の国の代表チームにとって、

受け止められ方としては「対戦相手国を舐めている!」と言われても仕方がない状況です。

 

なお、日本代表はスペイン戦(第3戦)もスタメンを5名入れ替えましたが、

そちらは上記2.のケースに該当(≒コスタリカ戦で敗北)するので、何の問題もありません。

 

「ターンオーバーもどき」の問題点

日本はグループリーグ突破が当然視されている強豪国ではありませんので、

そもそも「ターンオーバー」という戦略を使う機会が乏しいわけです。

 

それにも関わらず、しかもグループリーグ突破を懸けて戦う重要な第2戦で、

「ターンオーバー」という表現が踊ることに対して大きな問題点があります。

 

はっきりと書くと、

 

対戦相手国とのあいだに遺恨が残るリスクがある

 

というものです。

 

「日本代表目線」から、2戦目を全力で勝利して3戦目を休ませる、

本来の意味でのターンオーバーを実施すればよかったのに、という批判はもっともでした。

(わたし自身、現在でもその考え方を持っています)

 

もっともですが、それと同時に、あるいはそれ以上に、

日本の美徳(?)とも言える「相手の立場に立って考える」と、

コスタリカ側からしたら「舐められている!?」と感じても不思議はないはず。

 

日本の「ターンオーバーもどき」のスタメン入れ替えに対して、

海外記者によるコメントで、「敬意を欠いていた」との手厳しい評価がいくつかありましたが、

残念なことに、日本国内からそういった視点のコメントはあまり聞こえてきませんでした・・・。

 

幸い(?)コスタリカ戦は敗北したから良かったものの、

もし勝利していたら最悪の事態になっていたかもしれない!?。

 

言い換えると、

 

負けたから笑われただけで済んだけれど、

勝っていたら恨みを買うような行為だった。

 

ということ。

 

日本代表の森保監督としては、まったく悪気はなかった選択だと思うし、

単純にグループリーグをどのように戦うかに集中していたとは思うけれど・・・。

 

次世代のことも考えた長期的視点を持つ必要性

だいたい対戦相手国に恨まれていいことはひとつもない。

 

しかも中米の中堅レベルの代表チームであるコスタリカへの敬意を欠いた行為は、

“百害あって一利なし”と言わざる得ない・・・。

 

なぜなら、

ワールドカップは今回で終了ではなく、

4年後、8年後と今後も継続して開催されるわけだから、

日本代表は現状に満足せずに、さらなる実力向上を図らないといけない。

 

その際、いきなり欧州や南米の強豪国と肩を並べることはあり得ないので、

ワールドカップでの実績は乏しいけれどフィジカルに定評のある「アフリカ」代表のチームとか、

古豪もいて中堅レベルが揃う「北中米・カリブ海」代表のチームとの親善試合などがとても重要。

 

つまり、強豪国とのマーケティング目的の親善試合もいいけれど、

実力向上を図るための実利的な親善試合を組むことも大切になるので、

ドンピシャに位置するようなコスタリカに恨まれたら損でしかないわけ。

 

しかも次回ワールドカップは、

カナダ・メキシコ・アメリカ合衆国の3カ国共催なので、

北中米地域でキャンプを張ったり、代表チームとの親善試合などが重要になってきます。

 

下手に悪評が蔓延すると、次回のワールドカップ、さらにはその後の・・・、

みたいな感じで、これからの後輩世代にまで影響を及ぼしてしまうことにもなりかねない。

(実際にキャンプを拒否されたり親善試合が組めなかったりという代表チームもあるから)

 

そのため、単純に今回の試合に勝った負けたではなくて、

それを超えたところで対戦相手の代表チームを尊重する態度・姿勢が大切というお話。

 

といったところで、本日のブログは手仕舞い。

 


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