W杯小話⑥.FIFAランクと日本代表の現在地点
トレード雑記第205弾、
W杯小話⑥.FIFAランクと日本代表の現在地点
サッカーの各国代表チームの強さを表す指標として、
FIFA(国際サッカー連盟)によるランキングがあります。
トップ10は、
つぎのとおり(2022年10月6日付)。
1位ブラジル
2位ベルギー
3位アルゼンチン
4位フランス
5位イングランド
6位イタリア
7位スペイン
8位オランダ
9位ポルトガル
10位デンマーク
これに続くのが、
今回のワールドカップで日本代表が対戦した2か国。
11位ドイツ
12位クロアチア
ちなみに日本、
そしてグループリーグで対戦したコスタリカは、
24位日本
31位コスタリカ
となります。
FIFAランクは当てにならない?
よくFIFAランクは当てにならないと言われていますが、
その理由はつぎのとおりです。
1.各国代表チームが直接対戦しているわけではない
2.代表チームが戦う地域等を数値化した便宜上のランクである
1.がすごく大切な大前提で、
総当たりのリーグ戦でも実施すれば「より正確な」ランキングが出来そうなものですが、
現実的には不可能です。
サッカーは(競技の性質上)毎日試合ができるわけではありませんから、
仮に1ヶ月に1か国と対戦したとしても、4年で48か国しか対戦できません。
(8年で96か国と対戦した頃には、メンバーが大きく入れ替わっています)
そのため、便宜上、
強さを数値化して表現しているのがFIFAランク。
ですから「FIFAランクが当てにならない」のは当然で、
あくまでも「便宜上」のランク付けでしかありません。
わかりやすい指標が他に存在しないので、
ワールドカップでも使われるわけですが、
FIFAランクを持って格上・格下と表現している場合は、
注意深く聞いておくことが必要になります。
FIFAランクに言及する人が、この仕組みを理解したうえで、
「わかりやすさ」や「伝わりやすさ」を優先して説明している場合もあれば、
知らずに「FIFAランク=各国代表の強さ」と勘違いしている場合もあります。
この大前提を理解したうえで、
FIFAランクの算出方法をざっくりと書くとつぎのとおりです。
(詳細はFIFAやWikipediaを参照してください)
「試合の重要度」と「各代表チーム持ち点(ポイント)」を基本に、
その「試合結果(勝・負・引分)」などを数値化して加算・減算して、
ポイント順にランキング形式で発表。
「試合の重要度」は、もちろんワールドカップが一番高くなります。
(例:決勝トーナメント>グループリーグ>各地域の予選(アジア大会など)>親善試合)
「各代表チームの持ち点」は、
2018年段階のランキングから数値化したポイントが基準となっています。
そのため、持ち点が高い代表チームが集まる地域(欧州や南米など)は、
結果的にそこで戦う代表チームのポイントが高く計算されてしまいます。
逆もしかりで、
持ち点の高い代表チームが集まっていない地域(アジア、アフリカなど)は、
結果的にポイントが低く計算されてしまいます。
わかりやすい例だと、
今回のワールドカップに出場していないイタリアが6位にランキングされています。
(欧州での大会で好成績を残した結果ですが、W杯予選では敗退したということ)
一方で、
たとえば今回のワールドカップで対戦したコスタリカは「北中米・カリブ海」地域ですから、
欧州や南米の強豪地域と比較して、どうしても「低いランク」になってしまいます。
日本の「アジア」地域での活躍と似たような感じで、
両国代表チームのFIFAランク24位日本と31位コスタリカだと、
それぞれの代表チームが主戦場としている地域が異なるという程度の微差です。
対戦する代表チームとの相性も大切
こんな感じで、
「基本的に対戦しない」各国代表をランキングしているわけですから、
実際に対戦するとランキング下位の代表チームが上位の代表チームに勝つ、
といった試合は少なくありません。
肌感覚ですが、
FIFAランクのトップ5くらいはやはり別格の強さがあって、
「自分たちのサッカー」が出来て、それで勝てる代表チーム。
(だいたい欧州と南米のNo1、2が占めるイメージ)
そして「相手のサッカーに対応」して勝つこともできる感じ。
その後のランキングでいうと、
トップ15くらいまでが欧州と南米の2~3番手集団が続いて、
その後の20番台クラスで、各地域(大陸予選)のNO1などが名を連ねる感じ。
そのため、ランキングの10番台から20番台くらいだと、
「実際にやってみないと勝敗はわからない」ことが多いです。
そして試合をする際は、ランキングよりも代表チームのカラーというかスタンスが、
個人技重視か集団戦術重視か、ポゼッション重視のパスサッカーかカウンター狙いか、
スター選手のワンマンチームか全員がそれなりの水準のチームか、などによって、
自分たちと相手とのチームカラーの相性次第で番狂わせもあるといった感じです。
今回のワールドカップでいうと、
サウジアラビア(FIFAランク51位)がアルゼンチン(同3位)に勝利したことは、
大番狂わせでジャイアントキリングとなりました。
日本代表の現在地点
今回のワールドカップにおける日本代表は、
ドイツ戦・・・格上相手の番狂わせだけど、ドイツがそこまで強くなかった
コスタリカ戦・・・中米の中堅レベルで、FIFAランクほど日本と差はなかった
スペイン戦・・・間違いなく格上で、驚いていいレベルの番狂わせとなった
クロアチア戦・・・W杯巧者で格上、善戦したと言っていいレベルの残念な敗戦
といった感じだったと思う。
もちろん、それぞれの試合で成果と課題があるとは思うけれど、
それを確認して修正するのは新生日本代表がやるべきことです。
現状、日本はアジアでは最強の一角で、
ワールドカップでみると「中堅レベル」。
わたしは、
アジアで無双するよりもワールドカップで活躍する方を優先する考え方なので、
アジアカップで優勝を逃そうが、年齢制限のあるオリンピックでメダルを逃そうが、
そんなことよりもワールドカップで一歩上のステージへ、という感覚。
このあたりはサッカーファンのあいだでも意見が割れると思うし、
アジアでの無双を重視する人ほど森保監督に批判的な人が多いイメージ。
(ちょいちょい勝ち切れずに無双できなかった事実は事実なので)
ちなみに、森保監督続投の話も有力視されているけれど、
退任して別の監督の方がいいという主張の人と、その点はわたしも共通。
(森保監督の否定ではなくて、海外で監督をしてほしいという前向きな考え)
そして、よく言われているように、
代表チームとして、どういったサッカーを目指すのか、
その方向性をある程度明確にするというのは重要なテーマではあると思う。
サイズ(≒体の大きさ)で勝負するサッカーは日本では難しいので、
欧州の多くの代表チームのスタイルを真似することは出来そうにない。
もちろん「究極の理想形」は、強豪国の物まねではなくて、
「日本オリジナル」のスタイルを確立することだけど、現状は理想論で非現実的。
そこで、よく目標にされるスペインなどのポゼッション重視のパスサッカー、
メキシコなど体格がそこまで大きくない代表チームのフィジカルやテクニックを盗んだり、
格上相手にある程度ハマった堅守速攻のカウンターサッカーの追求、などなど。
さらには、今回のワールドカップで荒々しいプレーを目の当たりにして、
「思ってたのと違う!?」と、ファンからアンチに鞍替えした人も多そうなアルゼンチン。
小柄な体格でスピードとテクニックを重視した狡猾なサッカーの完成形のひとつです。
マラドーナが活躍した80~90年代前半は、
日本代表がワールドカップに出場することが夢のまた夢でしたが、
現在はほぼ確実に出場できるレベルにまで成長しましたので、
目標とすべき代表チームのひとつにアルゼンチンも加えてみたらどうでしょう!?
狡猾で好戦的なスタイルは「日本受けしない」かもしれませんが、
スピードやテクニック、体の使い方など、以前の「雲の上の存在」ではなくて、
現状のさらに一歩上を目指すからこその学びも多いのでは、と感じます。
いずれにしても、中堅から強豪への壁をどう越えるのか、
そのために必要な課題を設定して克服することが大切となってくる感じでしょうか。
といったところで、本日のブログは手仕舞い。
1件のピンバック
トレード雑記総集編6-energy flow | 負ければ養分~デイトレ後悔日誌