56年ぶり「年度最高勝率」更新・・・ならず!
トレード雑記第396弾、
将棋界の歴代ベスト記録のなかで燦然と輝く「年度最高勝率」。
半世紀以上前の1967年に記録した中原誠十六世名人(当時五段)の47勝8敗(0.8545)。
当時は、中原十六世名人も将棋界も、
またそのうち更新されるだろうと考えていたとのこと。
ところが、その後に一時代を築く中原十六世名人当人に加え、
谷川浩司十七世名人、羽生善治九段(十九世名人有資格者)など、
数多の実力者が更新することができなかったことから、その輝きは増すばかり。
そして、
藤井聡太竜王名人(デビュー時点ではもちろん四段)の、
デビュー29連勝の記録をもってしても更新できず・・・。
そこに今年度、
藤本渚四段が挑んだわけです。
結論を書けば、
タイトル挑戦でも話題となった佐々木大地七段との一戦で黒星を喫し、
46勝9敗(0.8364)となり、年度最高勝率の更新は見送りとなりました。
それでも順位戦C級2組からC級1組に昇級したことで五段に昇段。
来年度は、藤本渚五段の活躍に期待が集まります。
また、
密かに可能性があった最高勝率2番手を走っていた藤井聡太竜王名人。
放送対局(録画放送)であるNHK杯決勝戦で佐々木勇気八段との一戦で、
こちらも黒星を喫したことで、こちらも年度最高勝率の更新はならず・・・。
2023年度は、棋王のタイトル防衛に成功し、
最終的には46勝8敗(0.852)となりました。
藤本四段にしても、藤井竜王名人にしても、
あと1勝、あと1局あれば、といったところでしょうか。
偉大な記録への挑戦は、
来年度以降に持ち越しとなりました。
ちなみに、
年度最高対局数および勝数の記録は、
棋戦が多い(≒出場可能棋戦を多い)年度に有利となり、少ないと不利となりますので、
いくつかの棋戦が過去に消滅している影響で、現状では更新不可能と言われています。
またタイトル獲得数などについても、タイトルの増減で条件が異なるため、
歴代記録と現在の記録を単純に比較できるものではありません。
そのなかでも「年度最高勝率」は、
あくまでも勝率ですので、唯一と言っていいくらい「比較可能」な尺度です。
だからこその中原当時五段の記録、
そこに肉薄した藤井竜王名人や藤本新五段の記録が輝いているのだと思います。
基本的に、年度最高勝率の更新は、
それ自体を目標とする記録というより、
あくまでも副次的な記録となりますので、
来年度以降も藤井竜王名人や藤本五段はもちろん、
さらには新しい棋士の活躍からも目が離せません。
といったところで、本日のブログは手仕舞い。