評価と応援-スポーツ観戦の場合
トレード雑記第223弾、
評価と応援-スポーツ観戦の場合
前回ブログで「評価」と「応援」について書きました。
(「評価と応援-銘柄に惚れるな!?」を参照)
ざっくり書くと、
人間が「評価」をする以上、「評価」と「応援」は不可分で、
「評価」をおこなう際には「応援」の要素が含まれてしまうこと、
同時に「応援」には、プラス方向と「批判」(≒マイナスの応援)も存在する、
みたいな内容。
客観的なデータを用いて「評価」をする場合でも、
肯定的な評価をしようとすれば、そういうデータを取捨選択したり、
否定的な評価をしようとすれば、こちらもそういうデータを取捨選択する、
という思考や行為が主観的におこなわれるのが当然なので、
自分自身が評価をする際も、他人の評価を見聞きする際も注意が必要、
みたいなニュアンス。
とはいえ今回のようなテーマでは、
どこまでいっても抽象的で小難しい話になってしまうので、
いくつか具体的な事例でご紹介。
スポーツの場合、
成績が数値・データとして明確になるので、
他の領域以上に客観的な評価が理解しやすい領域だと思いますが、
それでもかなりの部分で主観的な応援(プラスマイナス含む)が評価に介在します。
なお、今回はスポーツ選手に限定しての事例紹介のため、
登場人物については現役・引退後を問わず敬称略とします。
今回のブログではトップアスリート3名を厳選して、
大谷翔平(野球)、三笘薫(サッカー)、井上尚弥(ボクシング)、
ご興味のある人物のところだけでもご一読いただけるとうれしいです。
(八村塁(バスケ)も書きたかったけれど長くなるので省略)
1.大谷翔平
今やプロ野球選手、大リーガーの枠を超えて、
「投手と打者の二刀流」を体現する唯一無二のアスリート。
デビュー当初は応援批判を含めて賛否両論ありましたが、
現在では(少なくとも日本においては)応援一色といった感じ。
前例がなさ過ぎて「評価」≒「応援」みたいな感覚すらあるように感じます。
二刀流の活躍が本格化した2021年シーズンでは、
(a)「ベーブルース以来の二けた勝利&二けたホームラン」なるか!?
(b)「投手をしながらホームラン王」なるか!?
といったような話題がありました。
最終的には、投げては「9勝」、打っては「46本」と、
(a)(b)ともに達成できませんでしたが「シーズンMVP」を獲得しました。
そして2022シーズンも勢いをそのままに、
15勝、34本の成績で(a)を達成することになりましたが、
惜しくも2年連続のシーズンMVPの獲得には至りませんでした。
ちなみに、この場合の(a)や(b)は、
客観的な評価項目であると言うこともできますが、同時に、
わざわざこのような評価項目を創作しているところからもわかるように、
主観的な評価項目であり、いわゆる「応援」要素の強い評価となります。
いずれも大谷翔平に実質限定された評価項目ですし、
比較対象の「ベーブルース」は大谷翔平をアゲる評価を目的とした伝説の選手です。
他にも、「〇〇2世」や「和製〇〇」みたいな異名も、
応援の色合いが濃い評価である場合がほとんどです。
(外見が似ている程度でネタのような扱いもありますが・・・)
2.三笘薫
2022年カタールW杯の日本代表で一際輝きを放っていた左サイドの天才ドリブラー。
W杯終了後も、
所属クラブのブライトン(現在世界最高峰のイギリス・プレミアリーグのチーム)で、
好調を維持しており、その活躍ぶりはABEMAで引き続き視聴可能(試合は無料放送)です。
大谷翔平と同様、あるいはそれ以上に評価≒応援というか、
下手をすると応援が評価を上回っているような熱狂的応援が見受けられます。
ドリブル成功率など(普段はあまり見かけない)データを用いて、
メッシに次ぐ世界2位とか、ネイマールやエンバペを超えたとか・・・。
すでに「日本代表史上最高の選手」では!?
みたいな話題も上がっているようですが、個人的には時期尚早かなと感じます。
また、関連すると、比較対象の選手や監督、チームなどを用いて、
「三笘薫アゲ」≒「〇〇サゲ」のような論評がおこなわれる場合もあります。
前述のベーブルースと大谷翔平の関係性は、
互いにプラスとプラスの評価・応援による「アゲ」を意図したものですが、
三笘薫へのプラスの応援が強すぎるあまり、他選手やチームを下げるニュアンス。
そこでの代表的な比較対象は、
久保建英、香川真司など新旧日本代表の選手だったり、
日本代表の森保一監督だったりします。
三笘薫をアゲる目的で他者をサゲなくてもいいのに・・・、
絶好調の選手を応援≒評価するために不調の選手を貶めなくても、
(比較対象を含めた)両方の選手に対して評価・応援したらいいのに、
という感じで、この類の論評は聞いていても悲しくなる場合が少なくありません。
さらに、監督と選手を比較対象とする場合は、
「選手招集」「采配」、「起用方法」などへの言及となりますが、
だいたいの場合、「選手はすごいのに≒監督の起用法が悪い」となります。
三笘薫アゲ、森保監督サゲ、というテンプレです。
一方、わたしのように両者を評価≒応援している場合だと、
そもそも大学卒業後Jリーグ1年目の三笘薫を五輪代表に召集した監督が森保一だし、
ケガや体調不良でパフォーマンスが安定しない三笘を途中出場などで試し続けた結果、
限られた時間でゲームを変えるキーマンとしてA代表にも召集されるようになったわけで。
そして、W杯での活躍を経て、現在のブライトンでの大活躍は、
むしろ「W杯で自信を獲得した三笘の成長」という評価(≒応援)となるんだけど。
だから三笘が活躍すればするほど、わたしのなかでは森保監督の評価も上がる。
(「森保監督批判≒マイナスの応援勢」とは正反対の評価≒応援になるわけ)
ただ、なんとなく現状の三笘はハイペースで出来過ぎている感もあるので、
ケガだけは気をつけて息の長い活躍、次回W杯でも活躍してほしいと思います。
3.井上尚弥
ボクシング世界3階級王者にして、世界バンタム級主要4団体統一王者。
主要4団体統一王者は史上9人目、アジア人では史上初、
統一戦の4試合すべてを「KO勝ち」で飾った唯一のボクサー。
2023年はベルトを返上して、
自身4階級目の「スーパーバンタム級」で戦うことが公表されました。
と、まあ、凄すぎる戦績なのですが・・・。
アメリカ「リングマガジン」(最も権威のあるボクシング雑誌)による、
2022年のMVPには残念ながら選出されませんでした。
そこには、評価と応援が不可分である現実が垣間見えます。
「井上尚弥は強すぎる」
「対戦相手が弱すぎる」
わかりやすく二分法で書きましたが、
応援を含めて井上尚弥を評価する人は前者の、
懐疑的な評価をする人は後者の考えに近いようです。
常に言われる「軽量級」であること、
ライバル不在で「真の強さ」がわからないこと、
結果的に一方的な試合展開で「面白くない」こと、
などが懐疑的評価に繋がっている場合がほとんどだと思います。
「階級の壁」、そしてこれから始まる「年齢の壁」を超えていけるか、
現段階でベストの回答は「やってみないとわからない!」としか言えません。
個人的には、
井上尚弥(というか今回のブログで事例とした3名すべて)を応援していますが、
評価については、応援が不可分と理解しつつも、一歩引いた評価を常に心掛けています。
おまけ-せっかくなので井上尚弥をサゲる!?
せっかくなので、
最後に井上尚弥を「サゲるためだけ」の比較対象をご紹介。
完全にネタですので、
ご理解いただけるとうれしいです。
今回、井上尚弥と比較対象する人物は・・・、
それは・・・、
幕之内一歩。
1989年から現在も連載中のボクシング漫画『はじめの一歩』(森川ジョージ)の主人公。
漫画の内容は、
いじめられっ子の高校生である幕之内一歩が、
後の世界王者・鷹村守との出会いをきっかけに、
ボクシングの世界での挑戦を描くストーリーとなります。
作中において、一歩は相対的に体格が小さいため階級が低く、
鷹村をはじめ先輩ボクサーは相対的に体格が良く階級が高く設定されています。
体重別で細かく区分される「ヘビー級」から「ミニマム級」まである全17階級で、
幕之内一歩は「フェザー級」(上から11番目)、鷹村守は「ミドル級」(同5番目)。
わたしも途中までしか読んでいませんし、
現在も連載中なのでわからない部分もありますが、
おそらく作中で一歩よりも下の階級での主要登場人物や試合は描かれていないはず。
(もし間違っていたらごめんなさい)
そして、
井上尚弥の階級は、
デビュー時点での主戦場は「ライトフライ級」(上から16番目)、
王者となり階級を2つ上げて「スーパーフライ級」(同14番目)、
2階級王者となっても勢いをそのままに、さらに1つ階級を上げて、
昨年4団体統一王者となったのが「バンタム級」(同13番目)です。
今年主戦場と考えている「スーパーバンタム級」が、
階級で言うと上から12番目の階級となるので・・・、
「幕之内一歩のフェザー級のひとつ下の階級」です。
今節の冒頭で書いたように、
井上尚弥を「サゲるためだけ」の比較対象としての幕之内一歩。
漫画ですら描かれることがほとんどない軽量級なので、
現実のボクシングファンのなかで懐疑的評価がつきまとうのは致し方ないわけです。
そういった評価を払拭するような大活躍を期待していますし、
全力で応援したいと思います。
といったところで、本日のブログは手仕舞い。