注目される仕事の「やりにくさ」

トレード雑記第183弾、

 

注目される仕事の「やりにくさ」

今回のブログタイトルは仰々しいですが、ただの将棋ネタです。

 

里見香奈女流五冠が史上初の女性棋士誕生なるか、

注目を集めた「棋士編入試験」が0勝3敗となり、

残念ながら不合格となりました。

 

今回のブログで採り上げるのは、試験官となった若手棋士の側です。

 

現行制度における試験官は、

編入試験の受験申込があった段階において、

棋士番号の大きい順に5名(=新四段から5名)となっています。

 

今回の場合は、次の5名です。

(第3局で終了したため、第4局以降はなし)

 

【第1局】徳田拳士四段(棋士番号332)24歳

【第2局】岡部怜央四段(棋士番号331)23歳

【第3局】狩山幹生四段(棋士番号330)20歳

【第4局】横山友紀四段(棋士番号329)22歳

【第5局】高田明浩四段(棋士番号328)20歳

 

そしてこの5名は、

11月から始まる小山怜央さんの棋士編入試験の試験官でもあります。

 

新四段が注目されるのは希少

里見女流五冠の棋士編入試験は、

女流棋士の第一人者が受験生ということもあったので、

若手の新四段にとっては、どちらかというと「敵役」となりました。

 

ここでは試験の内容や結果についての感想は省きますが、

大舞台に慣れていない新四段にとって「やりにくさ」があったことは間違いありません。

 

それでも、プロである以上、

知名度を向上させたり、棋風でファンを増やしたりといった、

またとないチャンスであった(これからもう1回あるけれど)ことも事実です。

 

わたしは将棋ファンですが、

一般の人にとって新四段が注目されることはまずありません。

 

実際、藤井聡太五冠(棋士番号307)以降の棋士で、

名前と顔が判断できる棋士は「0人」という人がほとんどだと思います。

 

藤井五冠にしても、史上5人目の中学生棋士として注目を浴びて、

当初はお決まりの「天才少年」的なメディア報道が中心でした。

 

その後の活躍は周知の事実ですが、

実力と実績で現在では将棋界の顔に定着したといえます。

 

そういった特別な存在を除けば、

新四段がABEMAなどの放送対局で生放送されることはほとんどありませんので、

一挙手一投足が注目されることはプレッシャーであると同時にチャンスだと思います。

 

心無い自称ファンからは、「忖度しろ」(≒わざと負けろ)とか、

「所作がダメだ」(新人だから慣れていないところが大きい)とか、

好き放題言われたりするわけですが・・・。

 

これから始まる長いプロ棋士人生ですので、

試験官として放送対局ができるチャンスを生かしてほしいと思います。

 

最後に、

里見女流五冠、

試験官の皆さま、

お疲れ様でした。

 

また、

11月から始まる棋士編入試験、

小山怜央さん、そして試験官の皆さま、

見応えのある将棋を期待しています。

 

おまけ-試験官のその後

今回のようなアマチュア(女流棋士含む)からのプロ棋士編入については、

瀬川晶司さん(現・六段)の活躍が大きかったわけです。

 

瀬川六段は、奨励会三段で退会(四段になれず)でしたが、

アマチュアとして数々の棋戦で輝かしい成績を残したことから、

プロ編入の嘆願書が提出されて特例で試験実施が決まった経緯があります。

 

そのときの試験官は、現在のようなルールがなかったため、

「奨励会三段」から「八段」のトップ棋士までバラエティに富んだ布陣でした。

 

結果的に、瀬川アマ(当時)の3勝2敗で合格となりました。

 

ちなみに八段の棋士は、瀬川アマ(当時)に放送対局(銀河戦)で負けたことから、

編入嘆願のきっかけになったとも言え、白羽の矢が立ったという人物でもあります。

 

「現役トップテンであるA級八段に勝ったのだからプロの資格はある」

という評価は、負けた側にとっては屈辱以外の何ものでもありません。

 

それでも、瀬川アマにはプロの実力があると評価し、

プロ入りの嘆願書に自身も署名をしたこの八段の棋士もまた慧眼ですし、

編入試験では瀬川アマに勝って実力を見せています。

 

それから4年後、念願のタイトル「棋王」を獲得しましたので、

現在ではアマチュアに負けたトップ棋士という汚名はきれいに返上されていると思われます。

 

また、

自身もアマチュアの身でありながら(≒将来プロになれる保証がないにもかかわらず)、

試験官に抜擢された奨励会三段は、編入試験で瀬川アマに勝利。

 

その1年後には四段(=プロ)に昇段し、

試験官から11年後、プロ入り10年後に、「名人」を獲得するトップ棋士となりました。

 

試験官を経験した棋士が、その後タイトルを獲得して、

「そういえばあの時の・・・」と思い返したりするのは、

将棋ファンとしての楽しみ方のひとつかもしれません。

 

といったところで、本日のブログは手仕舞い。

 


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