W杯小話①.マラドーナとメッシ
トレード雑記第200弾、
W杯小話①.マラドーナとメッシ
ワールドカップ開催に合わせて公開するブログ第4弾。
アルゼンチン代表の新旧スーパースターで、
「世界最高のサッカー選手は誰だ!?」みたいな企画だと必ずランクインするふたり。
アルゼンチン代表は無事(?)グループリーグ突破を確定させたので、
両者の比較をしつつ、南米が勝ち切れなくなった理由のふたつ目を考えていきます。
ひとつ目は、前回ブログをご参照ください。
ちなみに前回ブログのなかで、
日本代表にとって有利に働く可能性を示唆した記述も書いていますが、
今朝の日本vsスペインの決勝点(2点目)なんかはその範疇に入ると思います。
グループリーグ突破おめでとう!!!
日本代表に関するブログは、また後日の公開を予定していますので、
そちらもどうぞよろしくお願いいたします。
それでは本日のテーマ、
マラドーナとメッシについて。
ディエゴ・マラドーナ
1960年ブエノスアイレス生まれ、2020年没(享年60)。
身長は165cm、
比較的小柄な選手が活躍できるサッカーにおいてもひときわ小柄な選手。
それでもサッカーセンスに疑う余地がまったくないと言える次元で超一流。
アルゼンチン史上最年少(15歳11カ月)でプロデビュー、
アルゼンチン年間最優秀選手、南米年間最優秀選手など個人タイトルを総なめ、
名門ボカ・ジュニアーズに移籍してリーグ優勝に貢献。
と、
ここまでが20歳までの実績。
21歳のときにスペインのFCバルセロナに移籍して、
欧州でも大活躍。
以下、省略。
ワールドカップでは、
アルゼンチン代表を1986年優勝、1990年準優勝に導いたスーパースター。
こちらも詳細は省略。
あらためて書き出してみても、
マラドーナがサッカー界の至宝であることがわかります。
リオネル・メッシ
1987年ロサリオ生まれ、現在35歳。
天才サッカー少年として将来有望であったが、10歳の頃に体に異変が発覚。
その後、治療費を工面しながらアルゼンチンのクラブチームでの活躍を目指すが、
経済的困窮も相まって、治療費の捻出、家族の生活費を保障してくれるFCバルセロナに移籍。
この出来事が、だいたい12~13歳の頃のお話。
このあたりの話は本人のインタビューや回顧録などもありますし、
関係者それぞれの思いもありますので、それらには肩入れせずに事実のみの記述に留めます。
その後、バルセロナで頭角を現したメッシは17歳でプロデビュー、
現在進行形で活躍をし続けているサッカー界のスーパースターです。
詳細な活躍ぶりは、こちらも省略。
ワールドカップでは、2006年以降5大会連続出場を果たし、
2014年大会ではアルゼンチンを準優勝に導いた立役者となりました。
2022年大会は苦しみながらもグループリーグ突破を確定させましたので、
優勝候補最有力として決勝トーナメントの戦いに期待が集まっています。
両者の比較
マラドーナもメッシも、
10代前半ですでに天才サッカー少年としての評判を得ていましたが、
その後のキャリアにおいて大きく異なります。
母国アルゼンチンでスター選手となって海外移籍したマラドーナと、
(結果的に)母国では活躍の機会がなくて、海外で開花したメッシ。
サッカーファン、特にアルゼンチンのファンにとっては、
メッシのようなキャリアの選手に対して複雑な感情を持っても不思議はありません。
個人成績をみると、
両者とも素晴らしい実績を誇りますが、単純比較は極めて困難です。
南米のリーグが強った時代に、そこで実績を積んで、
かつ「助っ人外国人」扱いで海外移籍したマラドーナと、
欧州リーグでデビューして「多国籍軍団」の中心選手として活躍するメッシ。
こういう状況ですから獲得タイトル数の比較などは、
チームの成績、個人の成績を含めて、ほぼ無意味です。
なお、万国共通かもしれませんが、
メッシが登場した頃には、お決まりの「マラドーナ2世」との呼び声がありました。
しかし、メッシ自身の実績が積み上げられるにともなって、
マラドーナ2世の呼び声は影を潜めることになりましたし、
マラドーナと並び称される存在になったことは称賛に値すると思います。
(もちろんマラドーナを超えたというファンもたくさんいます)
わたしは古いサッカーファンですから、
マラドーナは唯一無二のアイドルであり歴代最高のサッカー選手です。
それでも、
「〇〇は歴代最高の選手だ!」という感じで、
いろんな世代の人とこういう論争で熱くなれることは、
サッカー(スポーツ全般かも)の楽しみ方のひとつかもしれません。
サッカーで南米が勝ち切れなくなった理由-その2
サッカーにおいて南米が勝ち切れなくなって、
相対的に欧州の代表チームの勝ちが目立つようになってきた理由。
ひとつめの理由は、VAR。
(前回ブログを参照)
ふたつ目の理由、
それはズバリ「低年齢からの人材流出」です。
マラドーナが活躍した時期は、
欧州と南米がサッカーの2大強豪地域、
そこでのリーグが世界最高峰としてしのぎを削っていました。
クラブワールドカップ(クラブチームの世界大会)などでも、
南米vs欧米の対決は見応え十分の真剣勝負が繰り広げられました。
メッシの場合はかなり特殊なケースだと思いますが、
時代の流れとともに、早期から欧州で活躍する南米の選手が増加しました。
現在では、クラブチームとしてみると「欧州一強」です。
そこには両地域の経済力の格差なども要因として考えられます。
欧州リーグが華やかであり、人気、知名度に加えビッグマネーが動くわけですから、
当然のように人材が集まりますし、その年齢層が低年齢化することは避けられません。
結果として現在進行し続けている現象は、
若い有力選手、それも10代前半から欧州のクラブでの活躍を目指すようになって、
どうしても南米リーグの空洞化、そこでのファンの減少、さらなる人気・知名度・経済力の低迷、
という悪循環に陥ってしまっている様相です。
この現象は同時に、
「南米人選手の欧州クラブチームによる欧州化」に繋がっていきます。
そういう選手しか活躍できないわけですから、
結果として、南米人選手の(ある意味での)強みが消されることになりかねません。
また、国別対抗であるワールドカップでは、
対戦相手となる有力国の戦力分析は必須ですが、
そういった選手の特徴やデータはすべて筒抜けになっているくらいの感覚もあるかもしれません。
こんな感じで、
低年齢での海外移籍が増えることで、
国内リーグの空洞化、ファンの応援熱の低下、資金繰りの悪化によるますますの人材流出、
からの・・・、成績の低迷、ますますの・・・、負の連鎖ですね。
このような傾向を食い止めるのは極めて難しく、
また食い止めることが正しいことなのかも判断がわかれます。
メッシのような成功例もあるでしょうが、星の数ほどの失敗例もあるでしょうし、
選手本人にとって、親にとって、クラブチームにとって、母国にとって、ファンにとって、
何が正解なのか、どうすればより望ましい結果が得られるのか、判断に困るわけです。
いずれにしても、
南米が勝ち切れなくなった要因のひとつとして、
こういった若い選手の海外移籍の定着があるように感じます。
といったところで、本日のブログは手仕舞い。